飲食店の開業!テイクアウトには許可が必要?繁盛させるポイントも紹介

コラム

テイクアウト専門店の開業を考えている、または飲食店を開業してテイクアウト販売もしたいと考えている人が気になるのが、普通の飲食店との手続きの違いではないでしょうか。本記事では、テイクアウト営業を始める場合にどんな営業許可が必要なのかを説明すると共に、テイクアウトを繁盛させるためのポイントについても紹介します。

テイクアウト専門店開業に必要なこと・許可

店内の厨房で調理した料理を弁当などにして販売する場合には、通常の飲食店営業許可で問題ありません。しかし、販売するのがハムや菓子類など、すでに加工されている食品の場合はそれぞれで許可が必要です。スーパーやコンビニで販売されている弁当のように賞味期限やアレルギー表示が必要かどうかについては、その場で調理したものを対面で販売するのであれば基本的に不要です。ただし、お客さまにとってはいずれも重要な情報であることは間違いなく、表示しておくほうが親切でしょう。

テイクアウト専門店の良さ

通常の店内営業のみの飲食店と比べたときのテイクアウト専門店のメリットを2つ紹介します。

人件費・家賃など固定費の節約

まず、テイクアウト専門店は、家賃や光熱費といった固定費を節約できます。客席のスペースを確保する必要がなく、厨房と手渡し用のカウンターだけの小さなスペースで営業できるためです。客席がないので、椅子やテーブル、食器、エアコンなども用意する必要がなく、初期費用も大幅にカット可能です。また、接客に使うスペースも限られているので、内装費用も節約できます。加えて、通常の飲食店のようにホール担当や食器洗い担当のスタッフを雇わなくていいので人件費も安く済みます。

客数に制限がない

次に、テイクアウトであれば客数に制限なく販売できます。通常の店内営業の場合は、物理的な客数が存在します。満席になった場合は新しいお客さまを入れることができませんので、ビジネスチャンスを逃してしまうときもあるでしょう。その点、テイクアウトであれば、製造・販売のキャパシティがある限り、注文を受け続けることが可能です。ひとり当たりのお客さまが店内に滞在する時間も短いので、回転率も高くなります。

テイクアウト専門店の注意点

テイクアウト専門店のメリットを理解したところで、ここからはテイクアウト専門店のデメリットや注意点についても触れておきます。

メニューはテイクアウト向きのものに限定される

まず、テイクアウトとなると、店内用ほどメニューの自由度がききません。テイクアウトした直後に食べてもらえるとも限らないため、冷めても味が落ちないものや傷みづらいものに限定されます。また、基本的には手を加えずにそのまま食べられることが前提です。持ち帰ったお客さまがどうやって食べたらいいのか判断に悩むようなものはテイクアウトには不向きです。加えて、スープやソースなどの液体を扱う場合は、容器から中身が漏れ出ないように注意しなければなりません。専用の容器を新たに用意する場合は、費用がかかります。

単価は低くなりがち

次に、テイクアウトの場合、値段が高すぎると売れにくくなります。席に座ってきちんとサービスを受ける場合には、一食に1200円~1500円ほどの値段を支払う人も珍しくありません。しかし、テイクアウトの弁当となると、その値段では高いと感じる人のほうが多いのではないでしょうか。店舗を構える地域の物価にもよりますが、テイクアウトの場合は800円くらいが限界でしょう。高い値段で売りたい場合は、自宅でコースの雰囲気を楽しめる贅沢なオードブルを用意するなど中身にこだわり、その値段でも安いと思わせる工夫が必要です。

容器のランニングコストを考慮する

最後に、容器代もそれなりの費用になります。テイクアウトの場合、皿を洗って使いまわすのではなく、使い捨てのプラスチック容器を利用することになります。容器のほか、使い捨ての箸やフォークなども必要です。お店の雰囲気に合ったできるだけおしゃれなものを使いたい人も多いでしょうが、消耗品にコストをかけすぎるのは考えものです。テイクアウト専門店は家賃が抑えられると先述しましたが、十分な容器を保管しておくスペースは必要です。

テイクアウト専門店の立地のポイント

テイクアウト専門店は、普通の飲食店と同様、ターゲットを踏まえた立地選びが大事です。どのような人に、どのような時間帯に、どのようなシーンで利用して欲しいかを考えてから、できるだけそれを叶えられそうな立地を選びましょう。たとえば、学生街やオフィス街に店を構える場合は、平日のランチタイムがピークになり、休日はほとんど利用されないかもしれません。また、学生が多いエリアとなると、高価格帯の弁当は売れにくいでしょう。住宅街であれば、平日問わず休日もファミリー層が買いにきてくれる可能性が期待できます。価格を決める際には、近隣のスーパーやコンビニといった競合店で売られている商品の価格もベンチマークしておきましょう。競合店よりもいかにコストパフォーマンスが良いと思わせるかが肝心です。

集客はどうする?テイクアウトアプリが増加!

魅力的なテイクアウトを用意していても、買いに来てくれる人がいなければビジネスとして成り立ちません。テイクアウトの集客方法については、利用者が急増しているテイクアウトアプリの導入を検討してみるといいでしょう。たとえば、テレビCMでお馴染みの『menu』や『食べログ テイクアウト』などは知名度も高く、集客効果が期待できます。このように、飲食店と消費者を効率的に結び付けようというサービスを開始する企業は増えています。近隣にビラを配る、お店の公式SNSを立ち上げて宣伝するといった従来の方法だけでなく、アンテナを張ってこうした新しいサービスをどんどん試すことも大事です。テイクアウトアプリの導入は、特に新規顧客への認知度アップや集客に効果的です。

テイクアウト専門店以外の開業について

テイクアウト専門店として開業しようと考えている人ばかりではないでしょう。ここからは、飲食店とテイクアウトを両立させたい場合や移動販売を行う場合に必要な営業許可について説明します。

飲食店でテイクアウトを新たに始める場合

まず、もともと店内営業をしていて新たにテイクアウト始める場合であれば、テイクアウトは基本的に飲食店営業許可の範囲になります。テイクアウトも始めたからといって、新たに許可を取る必要はありません。しかし、許可を取得した店舗の厨房以外で調理したものをテイクアウトとして提供する場合は、別途保健所の許可が必要です。

屋外で調理してテイクアウトする場合

祭りの屋台のような形式で屋外調理をし、テイクアウト販売をする場合には、地域の保健所に相談が必要です。大勢の人が集まる屋外での出店となると、店内での調理と比べて食品衛生上の問題が起きやすいため、臨時営業の営業許可を取らなければなりません。ただし、保健所ごとに許可を出すか出さないかの基準がバラバラな面もあります。もちろん、イベントの趣旨や出店期間、取り扱う食品の種類によっても手続きの難易度が変わってきます。

移動販売の場合

最後に、キッチンカーなどで移動販売をする場合ですが、調理をする場所ごとに許可が必要です。キッチンカーといっても、車内で調理が完結するケースは少なく、自宅などで仕込みをしてから移動販売を行うことになるでしょう。その場合は、それぞれで許可が必要になります。車の許可の種類ですが、リヤカーの場合は「行商」の届け出が必要です。キッチンカーの場合は、管轄する保健所の「自動車営業に関する相談先」にあらかじめ相談をしたうえで、営業許可証を取得しなくてはなりません。

飲食業の中でもテイクアウト店は始めやすい!

テイクアウト専門店や屋外でのテイクアウト店は、初期費用も抑えやすく、なおかつひとりでも始めやすいビジネスです。評判が広まれば、1日にかなりの数を販売することも夢ではありません。認知度の高いテイクアウトアプリを利用して効率的に集客を行いましょう。しかし、食品を扱う以上、営業許可などの基本ルールをきちんと理解し、順守することが前提です。