日本全国には約24万7000店の美容室があり、その数は街中で見かけるコンビニ店舗の4倍以上となっています。これほど多くのライバルがいるなかで末永く店舗を運営していくために重要なポイントが、いかにリピーターを獲得できるかです。今回は、リピーター率をアップさせるために分析すべき数値や、リピーターの獲得に有効なクーポン利用について紹介していきます。
美容室のリピート率が低い3つの理由
リピーターを獲得するためにはクーポンが有効ですが、まずは思うようにリピート率がアップしない原因を考えてみましょう。リピート率がアップしないのは、おもに3つの原因が考えられます。
1つ目は「ターゲット設定が適切に行われていない」ことです。理想は性別・年代問わず多くのお客様に来店していただくことですが、ターゲット設定がしっかり行われていないと、お客様は自分に合わないと思ってしまいリピートしてくれません。例えば、ターゲット像を20~30代の女性にするとします。同じ年代でも流行に敏感で美容室にはスタイリッシュな空間を求める女性もいれば、仕事や子育てなど忙しい時間から解放されてゆったりできる空間を求める女性もいるのです。そこで、ターゲットを細かく設定してメニューやレイアウトをターゲットの好みに合わせることで、結果的に気に入られる可能性が高くなります。
2つ目は「来店後のフォローができていない」ことです。来店後のフォローがない場合、お客様は美容室の存在を忘れてしまったり、新規クーポンの使える新しい店舗に行ってしまったりします。そのため、できれば来店時に次回の予約を促進し、次回予約を行わなかったお客様にはDMを送る、2回目以降のクーポンを作るなどのフォローが必要です。
そして、3つ目の原因は「お客様の期待を上回るサービスをしていない」ことが考えられます。「〇cmカットしてほしい」というオーダーに対して、希望の長さをカットするだけではお客様がイメージした仕上がりになるとは限りません。もう少し短くなると思っていた、もう少し毛先が軽いほうが良かった、など満足できずに帰ってしまう可能性があります。また、カラーやパーマの場合も、液剤の刺激で肌がかぶれたことがないか、パーマがかかりにくい、カラーが入りにくいといった悩みはないかなど細かくカウンセリングを行うことが大切です。
分析すべき数値・リピート率を紹介!
クーポンを発行する前に、もう1つ考えておくべきことが「顧客獲得コスト」と「リピート率」についてです。この2つは現状を把握し、具体的な集客方法を考えるために重要なポイントになります。顧客獲得コストを算出すればクーポンの割引額や割引率を決める際の目安になりますし、リピート率によってどのような対策が有効か考えることができるのです。では、具体的な算出方法やリピート率の活用方法をチェックしてみましょう。
顧客獲得コスト・顧客生涯価値
顧客獲得コストとはお客様1人を呼ぶためにかかったコストのことで、広告の効果が全体でどのくらいあったのかを検証する費用対効果とは異なります。顧客獲得コストはCPA(Cost Per Acquisiton)という指標を使い算出することが可能です。CPAは「広告費÷新規客数」で算出でき、顧客獲得コストから実際の売り上げを引けば、何回利用してもらうべきかが分かります。
例えば、ある月に20万円の広告費をかけて新規客数は40人だったとしましょう。この場合、20万÷40=5000なので、1人のお客様を呼ぶために5000円かかっているということになります。お客様が8000円支払っているとすると利益は3000円になりますが、人件費などを考慮すると利益はほとんどありません。仮に、顧客獲得コストのほうがお客様の支払い額よりも多い場合は、2回以上来店してもらわなければ利益がなくなってしまうということが分かります。
利益を出すためには、新規のお客様にリピーターになってもらうことが重要です。1人のお客様が1年間に支払ってくれる金額を「顧客生涯価値(LTV・ライフタイムバリュー)」と呼び、「平均単価×1年間の来店回数(12ヵ月÷来店頻度)×(1-離脱率)」で計算できます。顧客生涯価値を算出することで、年間の売上目標に対してリピーターを何人増やすべきかが見えてくるのです。
新規リピート率
新規リピート率は新規のお客様がリピートする率のことで一番スタンダードな指標です。「リピート顧客数÷累計新規顧客数×100」で算出できるので計算してみてください。例えば、1ヵ月で8人の新規来店があり翌月に2人が再来店したとすると、2÷8×100=25%ということになります。美容室のリピート率平均値は90日間で既存顧客が70%、新規顧客は30%と新規リピート率は高くありませんが、平均値を切っている場合、リピート率が低い店舗といえるでしょう。
なお、新規リピート率は美容室のホームページからの流入に比べ、クーポン付きサイトからの流入のほうが低いといわれています。また、新規のお客様が来なくなるまでの回数も含めて考慮する必要があり、それによってさまざまな対策が必要です。1回目で来なくなるのは初回クーポンが目当てという可能性が考えられます。新規の集客を重視するあまり割引率を高くしすぎてしまうと、安ければどこでも良いというお客様が集まる可能性があるのです。2回目以降で来なくなるということは、その店舗にはあまり魅力を感じられなかったという可能性が考えられます。
メニュー別/従業員別リピート率
メニュー別や従業員別のリピート率でさまざまな対策を考えることもできます。まず、メニュー別のリピート率が分かれば、リピート率が低いメニューを改善するなどの対策が可能です。カットのリピート率が低ければ技術向上に力を入れる、カラーやパーマのリピート率が低いのであれば薬剤を見直してみるなどの対策ができるでしょう。ほかにも、メニュー単価が高い可能性も考えられるため、価格設定を見直してみるのも良いかもしれません。
また、どのメニューで従業員のリピート率が高いのかが分かれば、従業員同士で得意な部分を共有し合い全体の技術を向上させることができます。従業員それぞれの強みが分かれば、ホームページや広告で従業員ごとの得意メニューをアピールすることもできるでしょう。
その他
年代×性別のリピート率を把握するのも有効です。仮に、30~40代の主婦層をターゲットにしているにもかかわらず、20代男性のリピート率のほうが多いとすると、ターゲット層がずれているということになります。その場合、20代男性からの受けが良いことが分かるので、それに合わせた対策が可能です。さらに、年代×性別のリピート率が従業員別に分かれば、その従業員が得意なお客様の層も見えてきます。
また、失客時のメニュー×来店回数を把握しておくこともポイントです。お客様がどのメニューで何回目に来店しなくなったのかをチェックしてみると、失客の原因を知ることができます。初回で来店しなくなるお客様が多いのであれば、全体の雰囲気や従業員の接客が良くなかった可能性が考えられるでしょう。2回目で来店しなくなるお客様が多いメニューがあるのなら、そのメニューの技術力が足りない可能性もあります。評判の良くないメニューをあぶり出すことができれば、どのような対策をすれば良くなるのか考えることができるのです。
それから、現在の状況と過去の実績を比較して良くなっている点と悪くなっている点を分析するのも効果的といえます。現在の強みと弱みが明確に分かれば、強みを活かしつつ弱い部分をどのように強くしていくかという対策を考えることができるからです。
クーポン利用時に気をつけたい景品表示法
美容室の集客向上に必要な対策が分かったところで、集客アップのために利用したいクーポンの注意点を確認していきましょう。実は、クーポンを発行するには、景品表示法(正式名称は不当景品類及び不当表示防止法)を守らなければいけません。店舗が発行するからといって自由に決められるわけではないのです。
景品表示法はおまけをたくさんあげて消費者を強引に引き寄せたり、誇大広告などでだましたりしないよう定められた法律で、消費者を守るためにあります。消費者庁の管轄下にあり、消費者が適切に商品を選択できるようになっているのです。
①不当表示の禁止
景品表示法で禁止されていることの1つが「不当表示の禁止」です。この不当表示には「優良誤認表示の禁止」「有利誤認表示の禁止」「キャッチオール(その他誤解される恐れのある表示)」の3つがあります。
優良誤認表示の禁止とは実際の商品やサービスよりも良く見せようとするのを禁止することです。例えば、10万km走行した中古車を走行距離5万kmと表示したり、痩せる成分が入っているわけではないのに塗るだけで痩せると表示したりすることを禁止しています。
有利誤認表示の禁止は取引の条件を偽ってお得に見せることを禁止するということです。例えば本当は何名でも受け付けているのに先着〇名までと表示したり、通常と変わらない価格なのに期間限定特別価格としてお得だと思わせたりすることを禁止しています。
キャッチオールは、すべての商品やサービスの広告を一律で制限するのが難しいため、内閣総理大臣が禁止事項を指定できるということになっています。
②過大な商品の提供の禁止
景品表示法で禁止されている2つ目は「過大な商品の提供の禁止」です。これは、ノベルティやおまけについて定められている禁止事項で、一般懸賞と総付景品があります。一般懸賞とは商品の購入者のなかから抽選で何かをプレゼントすることで、総付景品とは購入者全員に何かをプレゼントすることです。これらは豪華な景品に惑わされてじっくり検討せず購入してしまったり、景品込みの高額な値段で購入させられたりするのを防ぐために景品の上限や総額が定められています。
ちなみに、割引クーポンについての限度額は決まっていないものの、リピート率に合わせたクーポンを発行しなければ利益につながりません。そのため、クーポンはバランスを考えて発行する必要があります。また、割引ではなく「クーポン利用で○○をサービス」という場合は総付景品にあたり、1000円未満なら200円、1000円以上なら取引価格の10分の2が上限です。クーポン利用でおまけをプレゼントする場合はこの金額を守りましょう。
違反したらどうなる?
景品表示法に違反すると是正命令が行われ、罰金の納付をしなければなりません。是正命令はインターネットで公表されてしまうため、お客様が離れたり風評被害につながったりする可能性があるので注意が必要です。
集客アップにはクーポンが有効ですが、リピート率を考慮してクーポンを発行しなければならないうえに、いくつかのルールがあります。そのため、クーポンを運用することによって従業員に時間や手間など負担がかかる可能性があるのですが、そのような負担を減らすためにもアプリの導入を考えてみましょう。
リピート率分析×クーポンで集客UPを狙おう!
美容室の集客アップのためにはリピート率の分析やクーポン発行が有効といえます。そこで、アプリを導入し従業員の負担を減らしましょう。UPLINKは一からアプリを構築するよりも安く、短期間でできるパッケージ商品です。デジタルチケット機能で煩雑な業務がなくなるうえに、定額の範囲内で運用フォローアップ体制が充実しています。集客アップを狙うなら店舗アプリ公開NO.1のUPLINKをチェックしてみてください。