店舗経営で重要なのは、安定して顧客を掴むことです。そのためには、オープン時からいかに多くの顧客に来店してもらうかが大きな課題といえるでしょう。そこで必要になってくるのが広告です。この記事では、店舗集客のアイデアとそれぞれの事例について紹介します。一体どのような施策があるのかを理解し、自社店舗に適した方法を選んでみましょう。
WEBサイトを活用した集客
できるだけコストを抑えた広告にWEBサイトの活用があります。ここでは、WEBサイトを活用した広告方法にはどのようなものがあるのか説明していきます。
検索エンジンからの集客
オンラインショップの利用やリアルショップの情報収集など、欲しい商品や行きたい飲食店などを探す際、GoogleやYahoo!などを使ってインターネット上で検索を行うのが一般的です。そのとき、店舗のホームページが検索エンジンの上位に表示されれば、閲覧される頻度をあげられると同時に集客が見込みやすくなります。これは、SEO(Search Engine Optimizationの略)と呼ばれるもので、検索エンジンを最適化する施策によって良質なコンテンツを上位に表示させることです。検索サイトで上位に表示させる方法は他にもあります。利用者が興味を持ちやすいキーワードを設定することも、SEO対策の一つといえます。
また、閲覧数が多い企業などのホームページにリンクを貼ってもらうのも、顧客を自社店舗のホームページに誘導する手段の一つです。ホームページを作成すると、それだけで満足してしまう人は多いかもしれません。しかし、求めるターゲットにホームページを見てもらい、店舗の存在に気づいてもらうことが真の目的です。そして、実際に店舗に足を運んでもらったり、オンラインショップを利用してもらったりすることで目的を達成したといえます。「ホームページを作ったものの、あまり運用ができていなかった」という人は、ホームページから集客につながる方法を考えてみましょう。
リスティング広告による集客
リスティング広告とは、検索したときに上位に表示してもらう有料広告のことです。例えば、GoogleやYahoo!で検索をした際、サイト名の横に「広告」と表示されているのを見たことはないでしょうか。それが、リスティング広告です。リスティング広告は、ユーザーがクリックすることで広告料が発生するため、その分費用がかかります。しかし、言い方を変えればクリックした分しか広告料を支払う必要がなく、無駄なコストを抑えながら効率よく自社店舗のアピールができます。
具体的な仕組みを説明すると、広告費を支払うのは特定のキーワードに対してです。検索するユーザーは、当然そのキーワードに興味を持っている人なので、広告が目に触れやすく、ピンポイントでターゲットを狙うことができます。リスティング広告は、検索したときに他のサイトよりも上位に表示されます。確実に目立たせることが可能なので、資金に余裕があるときには効果的な集客方法といえるでしょう。
ディスプレイ広告による集客
ディスプレイ広告とは、さまざまなサイトの広告枠を利用して掲載する広告のことです。何らかのサイトにアクセスした際、右側や下側に表示されているのが一般的で、バナー広告という呼び方もあります。ニュースサイトやブログなどさまざまな場所に貼ることができ、そのサイトを閲覧するユーザー全員に向けてアピールできるのが特徴です。リスティング広告のように、検索エンジンで表示される場合は文字だけですが、ディスプレイ広告は動画や画像で表示されるため、視覚的にアピールしやすいというメリットも持っています。
ディスプレイ広告は、ターゲットをピンポイントで狙うことは難しいですが、その代わり幅広い層に向けてアピールできます。そのため、そのサービスや商品を知らなかった人にも情報を提供でき、同時に興味を持ってもらうことも可能です。今までになかった新しいサービスや商品を売り出したいときや、とにかく費用をかけてでもアピールしたいときには有効な手段といえます。
ポータルサイト掲載による集客
ポータルサイトとは、サービスや商品など同じカテゴリーを1カ所にまとめたサイトのことです。例えば、飲食店だけを集めたサイトや旅行会社、観光スポットなど、特定のジャンルに特化したケースがあげられます。カテゴリーでまとまっているため、ユーザーがそれぞれのサイトを探す必要がなく、1カ所のサイトから閲覧できるのがメリットです。そのサイトの中に自社店舗の情報を掲載しておけば、それだけ集客のチャンスを広げることができるでしょう。
もちろん、掲載する側として考えたときにデメリットもあります。それは、ライバルが多く、比較される可能性が高いことです。自社サイトだけが閲覧されるわけではなく同じような商品やサービスを扱う店舗が集まっているため、価格面などで差がつく場合もあります。また、中には有名店が掲載されているケースもあるので、ユーザーが目に留めてくれるような独自のサービスを考える必要性が出てきます。しかし、競争が生まれることで、自社独自のアイデア作りにつながるかもしれません。
SNSを利用した集客
SNSは個人だけでなく企業や官公庁にも利用されています。SNSにはさまざまなものが出ていますが、それぞれに特徴が違うので使い分けるのもいいでしょう。では、SNSを利用した集客方法にはどのようなメリットが期待できるのか、主な機能や特徴について説明していきます。
LINE
LINEは利用しているユーザーも多いことから、店舗のサービス案内や情報提供などの手段として導入する店舗は増えています。LINEには「LINE公式アカウント」という機能があります。この機能はLINE@と呼ばれていたもので、利用することで店舗の公式アカウントを作成できます。公式アカウントを作れば、簡単に集客に役立てられるのがメリットです。通常、ホームページを作成して店舗の集客を行うには、1から作成しなければなりません。当然ながら、その分、コストも手間もかかります。
しかし、LINEの公式アカウントを利用すれば、集客に役立つ機能がはじめからついています。手間がかからないうえにコストも抑えられるのもメリットといえるでしょう。LINEは、店舗のアカウントを友達追加しているユーザーに向けて個別にメッセージを送ることができます。この機能を利用すれば、来店予約や商品の問い合せなどが簡単にでき、結果として集客アップにつなげることが可能です。ただし、顧客がLINEを利用していることが前提なのはデメリットといえます。さらに、店舗アカウントを友達追加してもらう必要があり、キャンペーンなど工夫をしなければなりません。
Facebookは、投稿と広告の両方で集客アップが期待できるSNSです。Facebookの一番の特徴は長文を投稿しやすいことで、商品やサービスの説明を詳細に入れたいときに向いています。また、商品やサービスの内容が注目されれば、ユーザーが拡散してくれるのもメリットです。Facebookは基本的に実名での登録になるため、個人での利用に抵抗を持つ人も少なくはありません。その代わり、店舗や企業のPR用やホームページの代用として使うケースは多いといえます。
また、検索エンジンのリスティング広告のような有料広告を掲載することも可能です。しかも広告料は100円からと手ごろで、コストがかけられない店舗でも効率的にアピールできるでしょう。商品やサービスに興味を持ちやすいターゲットに絞って広告を掲載でき、初心者や開業したばかりでも低予算で集客が見込め、ハードルが低いのもメリットといえます。Facebookは、少しでも集客になりそうな人とは繋がっておくのがポイントです。すぐに結果は出なくても、定期的な投稿をし、ターゲットを絞った広告を活用していけば、収益につながる可能性はあります。実際に、地道な投稿と広告効果で集客を伸ばしたという例も存在しています。
Instagramは、写真の投稿をメインにしているのが特徴です。写真の他にも数秒程度の簡単な動画投稿も可能で、ビジュアル的なアピールをしたいときに効果が期待できます。テキストの入力もできますが、短文でのコメントや簡単な説明程度です。ユーザーの多くは若い女性であり、ファッションや美容など女性を意識した商材を扱う店舗や企業に合っているでしょう。Instagramは、個人でアカウントを持っているユーザーも多く、きれいな色合いのグッズやおしゃれな空間で撮影した画像は特に人気が高い傾向があります。
ビジュアル的に見栄えの良い場所で撮影した写真は「インスタ映え」と言われており、若いユーザーの間では流行語になるほど影響力を持っています。そのため、飲食店やファッションアイテムを扱う店舗では、インスタ映えする写真を撮るための工夫をしている店舗も少なくありません。おしゃれに敏感なユーザーの目にとまればフォローしてもらえることも期待できるでしょう。また、フォロワーの多いユーザーに着目し、起用するという集客方法もあります。Instagramはビジュアル重視なので、おしゃれでインスタ映えする写真の投稿を定期的にできれば、個人でも注目される可能性が高いSNSです。
Twitterは、短文の他に写真や簡単な動画の投稿ができます。Twitterは気に入った投稿につけられる「いいね」や、リツイート機能で簡単に拡散できるのが特徴です。ニュース記事などもリツイートできるため、気になった記事や情報を拡散しやすいといえるでしょう。気になる投稿には個別にコメントを入れることもでき、気になったことはスマートフォンから気軽に発信できます。他にも、Twitter上の機能を使って個別にメッセージを送ることも可能です。
Twitterを有効的に使うには、リツイートしてくれた人にキャンペーンを実施することで拡散を図るという方法があります。ただし、Twitterはフォローしたアカウントのタイムラインがすべて表示される特徴があるため、フォローするアカウント数を増やすことに抵抗がある人も少なくありません。また、ユーザーが興味を持つような投稿をしないと注目されることが難しく、効果は出にくいかもしれません。有名店であればフォロワーもつきやすく、定期的な情報発信のツールとして使うなら便利でしょう。
Youtube
YouTubeは、自分で動画を作成して発信する方法と、他の動画に広告を挿入してもらう方法の2通りの使い方ができます。動画を使用したマーケティングも増えており、文字や写真では伝えることができなかった情報や魅力を盛り込みたいときには有効な手段です。しかし、投稿しても実際にはなかなかユーザーに見てもらえないことも多く、配信するだけで集客を期待するのは難しいかもしれません。YouTubeを使ってマーケティングの効果を出していくには、視聴数やチャンネル登録者の数を増やしていくことです。しかし、そのためには多くの人が「見たい」と感じるような魅力的な動画を配信し続けなければなりません。
視聴数やチャンネル登録者を増やすという点で考えれば、YouTubeで動画を配信するのは店舗向きではないでしょう。YouTubeを集客アップに活用するなら、すでにチャンネル登録者数が多い人気のチャンネルに広告を挿入してもらうことです。もちろん、スポンサーとしての費用はかかりますが、ユーザーの興味を引くような広告を作ることができれば、知名度を上げて自社サイトに誘導することもできます。
チラシ広告を活用した集客
インターネットを利用しない世代に向けた有効的な手段に、チラシ広告があります。チラシ広告は、郵便受けなどに直接投函するケースや新聞折り込みなどが一般的です。広範囲にわたって配布するには相応の部数の印刷が必要になるうえに、ポスティングや折り込みなどのコストがかかりますが、地域を絞った限られた商圏での店舗の場合であれば、効果を発揮しやすいかもしれません。ただし、新聞を取っていない世帯には届かないというデメリットがあります。また、チラシの投函を拒否する世帯も多いうえに、すぐに捨てられる可能性も出てきます。
さまざまな観点から見ていくと、チラシ広告は若年層へのアプローチは難しいかもしれません。また、スマートフォンなどのデバイスがなくても誰でもすぐに内容を確認しやすいのがメリットですが、興味を引くような内容やデザインでなければ見てもらえないこともあるでしょう。チラシ広告で集客を図るなら、直接配布するほかに店舗や施設などに置いてもらうという方法もあります。ターゲットになりそうな層が集まる場所であれば、自由に持ち帰ってもらえることも期待できるでしょう。
ダイレクトメールを活用した集客
ダイレクトメールとは、顧客の住居や事務所に向けて送るハガキや封書などのことです。発送先はすでに利用している顧客が一般的で、自社で用意したキャンペーンやイベントの案内を送る際に使われます。そのため、既存の顧客のリピート率を上げたいときには向いているかもしれません。また、友達紹介という形で新規顧客の開拓を図るために活用することもできます。しかし、利用歴がない相手に送る場合には、中身を見てもらえないこともあるので工夫した方がいいでしょう。キャンペーンの案内を送る際は、相手にとって興味をそそるような内容であることがポイントです。
ダイレクトメールは、ハガキなどの書類以外に軽量のサンプルを送ることもできます。そのため、業種によっては、店舗で販売している製品のサンプルを送るのもいいでしょう。ただし、少しでも重さが出てしまう場合には、その分コストがかかることになります。また、顧客の個人情報の取り扱いには注意が必要です。顧客情報をどのような方法で管理するかにもよりますが、紛失や流出すれば顧客に迷惑がかかることになります。さらに、個人情報が悪用されれば、店舗の信用問題に関わる事態にも発展するでしょう。
口コミ
口コミは、実際にその店舗を訪れたことのある人からの生の声なので、信頼度が高いという特徴があります。また、人は人気のある場所に集まりやすく、そのうえ、親しい人からの紹介や教えてもらったことには抵抗感が少ないという性質を持っています。そのため、人から人へと伝わる口コミは、高い集客力が期待できるといえるでしょう。口コミは、友人同士やママ友など身近なところで広まるケースもありますが、店舗のホームページがあれば直接書いてもらうことも可能です。その場合、はじめは常連客などにお願いして書いてもらうのもいいかもしれません。
また、ホームページがない場合でも、Googleマイビジネスを利用すれば、Googleマップ上に店舗情報を掲載することもできます。Googleマップに情報を掲載しておけば、はじめて利用する顧客にも位置情報を伝えることができる点がメリットです。しかし、それだけではありません。店舗情報として利用者に口コミを書いてもらうことができ、まだ利用したことのない顧客に向けてアピールすることが可能です。
はじめて店舗を訪れる場合や、希望に合った店舗を探したいときには、インターネットで検索をする人が増えています。その際、Googleマップの口コミを参考にすることも多く、評判が良ければ立地に関係なく集客が見込めるでしょう。それだけ、口コミの力は強いということです。また、Googleマップでは写真の投稿も可能で、多少不便な立地でも丁寧に目印や店舗の外観などをアップしてくれる人もいます。定休日やメニュー、サービス内容なども写真付きで投稿してくれる人もいるため、口コミが多いと集客も期待できるでしょう。
集客アプリを活用した集客
これまで、さまざまな集客方法について説明してきましたが、クーポンの発行など店舗が独自で行える集客方法にスマホアプリがあります。スマートフォンは多くの人が利用するデバイスであり、パソコンを持たない人にも配慮できるのがメリットです。では、スマホアプリではどのようなことができるのか紹介していきます。
来店予約の活用
店舗を利用する際、店舗や時間帯によっては混雑してしまい、店先に行列ができてしまうこともあります。行列ができるのは人気店の証でもありますが、顧客にとって好ましいことではありません。中には、かえって顧客が遠のいてしまうということもあるでしょう。店舗側にとっても、顧客が集中してしまうとさばくのが難しくなり、単純ミスを起こす心配も出てきます。
店舗が混雑することを回避して顧客にスムーズに利用してもらうために、店舗アプリに予約機能を盛り込むという方法があります。予約を取れば混み具合が事前に把握でき、並ぶこともなく顧客に快適な利用を提供できるでしょう。予約を入れても、業種によっては多少予定時間が押すこともありますが、そのようなときでも予約をしない状況に比べれば少しの待ち時間で済みます。待つというストレスから解放され、スムーズな利用ができれば、リピート率の向上が見込めるかもしれません。
プッシュ機能の活用
プッシュ機能とは、店舗が発信した通知をスマートフォンの画面上に表示させる機能のことです。わざわざアプリを開かずに見てもらうことができ、緊急のお知らせやお得なキャンペーンなどの通知に効果的といえます。例えば、セールや限定商品の終了期限が迫ったときや、新商品の入荷などを知らせることができます。他にも、店舗の周年記念や季節限定メニュー、付与されるポイントの通知やスタンプのアップデートにイベントなど、内容は店舗によって様々です。
プッシュ機能は予約を促すなどにも使うことができ、顧客にとっても便利な機能といえます。例えば、美容室の場合なら、前回の来店から考えてそろそろカットやカラーが必要だというタイミングで予約案内を通知するという使い方もできます。このように、プッシュ機能は顧客がうっかり忘れてしまうような通知をすることも可能です。プッシュ機能を活用すれば、店舗の宣伝や必要な情報を定期的に発信することができ、顧客離れを防ぐことに役立つでしょう。
クーポンの活用
クーポンは、チラシ広告などにつけることもできますが、紙媒体だと利用するときにわざわざ持参する必要があり、やや不便といえます。その点、アプリでクーポンを配信しておけば、スマートフォンで簡単に利用することができます。チラシは失くしてしまったり忘れたりすることもありますが、スマートフォンは携帯していることが多いため、使用してくれることが期待できるでしょう。さらに、クーポンの確認などをするために、顧客がアプリを開いてくれるきっかけを作ることも可能です。
また、クーポンの配信をきっかけに来店してくれる人もいます。予約機能との組み合わせで上手に活用すれば、予約に合わせて特別なクーポンを配信することもできます。例えば、誕生日や結婚記念日などの予約には、当日使ってもらえるクーポンを配信すればいいのです。顧客にとっても特別感があり、次回の記念日も利用してくれるかもしれません。飲食店なら、スペシャルドリンクや限定デザートのクーポンもいいですし、飲み放題プランの時間を延長するというクーポンを配信するのも喜ばれます。さまざまなアイデアをクーポンにして、アプリ会員限定の特典として提供すれば、アプリ普及率のアップにもつながります。
店舗に合った集客施策を!
ここまで、店舗集客に活用できそうな集客施策について、活用例を添えながら紹介してきました。コストをかけずに手軽な方法で集客を図りたいなら、SNSを活用するのもいいでしょう。予算をかけられるならネット上に広告を出すのもいいですし、自社のホームページを作成する方法もあります。また、ポータルサイトへの参加も有効な方法です。年配者が多い地域ならチラシ広告を配布するのもいいでしょう。どのような方法をとるかは、店舗の性質や扱う商品などで違います。集客方法にはさまざまなタイプがありますが、どれが正しいということはありません。
ここで紹介したすべてを試せる店舗もあるでしょうが、中には手段が限られている場合もあります。大切なのは、店舗と顧客の両者に合った集客方法を考えることです。店舗にとっても活用しやすく、また顧客にもとっても便利であることがポイントといえます。集客をしたいけれどリソースが限られてしまうという場合は、自社店舗に合った集客方法を選んで上手に取り入れてみましょう。”