新型コロナウイルスの感染拡大を受け、対応策としてテイクアウトサービスを導入した店舗も多いことでしょう。そもそも飲食店のテイクアウトを利用する人は急増傾向にあり、長期的にみてもビジネスポテンシャルが期待できます。本記事では、飲食店がテイクアウトサービスを始めるメリットとデメリット、その際にかかる消費税について分かりやすく解説します。
テイクアウト利用率の増加理由
共働き家庭の急増や高齢化、未婚率の上昇により、食事のスタイルにも大きな変化が起きています。従来では、家庭で手作りした料理を食べる「内食」がメインでした。しかし、述べたような社会の変化に伴い、飲食店で食事する「外食」、出来合いの弁当や飲食店の料理をテイクアウトして家などで食べる「中食」が増えています。特に注目すべきは、「中食」の市場規模が拡大している点です。主な理由は、「調理や片づけの手間が省ける」「時短になる」「好きなものを食べられる」「外食よりも割安」「食材のロスが出ない」などです。なお、軽減税率の対象でもあることから、テイクアウトを選択する人の割合は、今後さらに拡大すると予測されています。
テイクアウト導入のメリット・デメリット
ここからは、飲食店がテイクアウトを始めるメリットとデメリットについて説明していきます。
メリット
まずは、テイクアウトという新しい売り上げをプラスできます。イートインの場合は、「客数」×「回転数」が売り上げの限界になります。店舗を増築しない限り、客数を増やすことは物理的にできません。そこで、回転数を上げようとすると、どうしてもサービスの質が落ちてしまいがちです。客単価をアップするために、値上げをしたり、サイドメニューを増やしたりすることにもリスクが伴います。その点、テイクアウトでは、これらに関係なく売り上げをアップできます。
また、テイクアウトの場合、接客スタッフも最小限で済みます。大量にテイクアウトの注文が入っても、受け取りの時間をうまく分散させれば、新たな人員を雇わずに対応できるでしょう。そして、テイクアウトは店舗の認知度アップにも効果的です。満席であっても対応できるので、新規顧客の来店促進にもつながります。テイクアウトの商品を見た周りの人たちへの宣伝効果も期待できます。
デメリット
一番のデメリットは、どうしても客単価が安くなる傾向にあることです。テイクアウトを利用する人の多くは、外食するよりも安い値段に抑えたいと考えています。そのため、イートインとは別の価格設定が必要です。それに加えて、テイクアウト用の容器やカトラリー、わりばし、おしぼりといった消耗品にかかるコストも発生します。メインの容器は店舗のイメージに直結しますので、コストだけで考えるのではなく、ある程度のクオリティを担保することも大事です。さらに、テイクアウトの場合、イートインのメニューほどの自由度がききません。持ち帰りに適したもの、冷めても美味しく食べられるもの、見た目にも楽しめるものなど、テイクアウトに適したメニューを考案する必要があります。
テイクアウト導入に必要な事
テイクアウトのメリットとデメリットを踏まえたところで、ここからはテイクアウトの導入に必要な準備について順番に説明します。入念に準備を行い、短期間での収益最大化を目指しましょう。
テイクアウト用のメニューと価格の考案
まず大事なのは、ターゲットに合ったメニュー考案と価格設定です。店舗を構えている地域の物価やカテゴリーの相場などをベンチマークしておきましょう。
例えば、ファミリー層が多い地域なのか、あるいは学生街なのかによって、売れやすいメニューと価格帯は変わってくるはずです。そのうえで、原価率やロス率なども計算に入れて、最大の収益が見込める価格設定を行いましょう。テイクアウト成功の鍵を握るのは価格設定です。
価格が決まったら、範囲内で実現できるメニュー開発に取り組みましょう。大事なのは「お得感」や「魅力」です。「この価格でこの料理が食べられるなら買いたい」と、お客さまに思わせられるかがポイントです。
備品の購入
メニュー開発と並行して、テイクアウトに必要な備品も購入しておく必要があります。容器やカトラリー、おしぼり、手渡し用のビニール袋など、食べる人の立場に立って何が必要かを考えておきましょう。容器選びは特に重要です。職場や屋外でも食べやすい、持ち運びに適したサイズ、耐久性があるなどの点に注意して、事前にスタッフなどでシミュレーションしておくと安心です。特に、スープやソースなどの液体を扱う場合は、歩いている途中で容器が斜めになって中身がこぼれないかなど、入念なチェックが求められます。容器のデザインが店舗のブランドイメージにマッチしているかという点も大切です。
店内のオペレーションを考える
イートインとテイクアウトを両立させるための手順や流れをきちんと考えておきましょう。オペレーションを考えていないと、オーダー間違いなどの人為的なミスが増える、お客さまを待たせてしまうなど、特に混雑時のサービスの質に影響が出てしまいます。テイクアウトを始めたことで、全体の質が落ちてしまっては本末転倒です。
効率的にテイクアウト対応を行うためのやり方は2つあります。
まず、付け合わせのサラダ類など、一部のメニューの調理を先に済ませておく方法です。メインディッシュのみ注文を受けてから調理するので、美味しさと時短を両立できます。
次に、予約のみでの販売にしたり、作った分だけ販売したりする方法です。販売数を最初から決めておくことで計画的に対応でき、ロスも最小限に抑えられます。
衛生管理のチェック
イートインと違い、テイクアウトはその場で食べるわけではありません。食べるまでに時間がかかることを踏まえ、衛生管理に目を光らせておく必要があります。ちょっとした油断や慢心が、食中毒や食あたりなどを招いてしまうこともあります。マニュアルやルールなどを作ってスタッフ全員に周知徹底しておきましょう。定期的な抜き打ちチェックも有効です。食中毒予防については、「菌をつけない・増やさない・やっつける」のが基本です。衛生管理を徹底し、放冷・冷却をして速やかに提供する、しっかり加熱をすることを意識しましょう。
必要な手続きを済ませる
テイクアウトを始めるには営業許可を受けなければなりません。すでに飲食店を営業している場合でも、テイクアウト用に新しいメニューを開発したなど、内容によっては別の許可が必要になるケースもあります。自治体によってルールが異なるため、テイクアウトを始める際には、念のため管轄の保健所に確認しておくほうが安心です。
テイクアウトの消費税について
2019年10月1日より、消費税増税・軽減税率制度がスタートしました。軽減税率とは、一部の商品については、課税率を例外的に低く設定する措置です。これに伴い、飲食店のイートインにおける消費税は10%に引き上げられましたが、テイクアウトにおける消費税は8%に据え置かれています。購入した商品をイートインするかテイクアウトするのかの決定権はお客さまにあります。店舗側としては、イートインとテイクアウトでは消費税率が異なることをメニューに記載するなど、お客さまに分かるように表示しておきましょう。
例えば、イートインの利用のほうが多い店舗では、メニューには「店内飲食用」の価格を記載し、テイクアウト利用の際には2%分を差し引くと補足しておくといいでしょう。イートインが前提の店舗であれば、「店内飲食用」の価格だけを表示しておくほうが、かえって混乱しないかもしれません。イートインとテイクアウトの利用割合が半々の場合は、両方の消費税を併記しておくのも手です。
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