飲食店の売上を伸ばそうとして、「テイクアウトの導入を検討している」という経営者は多いのではないでしょうか。ただ、その際に気になるのがテイクアウトを始めるにあたって「新たに許可を取る必要があるのかどうか」という点です。テイクアウトの始め方についてよく知らない人に向けて、届出の必要性や売上を伸ばすために押さえておきたいポイントを紹介していきます。
飲食店がテイクアウトを始める場合!届出は必要?
飲食業で義務付けられている届出の種類はたくさんあり、手続きを怠るとペナルティが発生するものもあります。したがって、新しいことを始める際には、常に届出の必要性を確認しておきましょう。ここでは、飲食店がテイクアウトを始める場合の届け出について解説していきます。
基本的に必要ない
テイクアウトと一言でいっても、具体的な方法はいくつかの選択肢があります。また、届出の必要性は「どの方法を選ぶか」によって変わってくるので注意が必要です。例えば、主な選択肢の中でもシンプルな方法といえるのが、「店で出しているメニューと同じものをテイクアウト商品として提供する」という方法になります。手間をかけずに、テイクアウトを始めることができるため、実際にこの方法を採用する経営者は多いのではないでしょうか。このケースでは、基本的に届出は不要です。
ただし、それはあくまでも店内でメニューを提供しているのと同じやり方で行うのが前提となります。つまり、「顧客がメニューを注文した後、調理を始める」という手順を踏むことが必要です。また、扱っている食品の種類によっては届出が必要になるケースもあります。そのため、届出は基本的には不要ですが「例外はある」という点を忘れないようにしましょう。
許可が必要になる場合
店で出しているメニューと同じものをその場で作って売る場合、届出は不要ですが、あらかじめ作り置きしたものを販売する場合は許可が必要になります。なぜなら、作り置きの販売は弁当屋もしくは惣菜屋の範囲となり、食堂やレストランなどとは別の業種だと判断されるからです。そのため、作り置きでの販売を行う場合は、営業許可種目の中に「そうざい」と「弁当屋」を追加することが必要になります。なお、具体的な手続きの方法が分からない場合は、最寄りの保健所に問い合わせてみましょう。
ハムやアイスクリームなどの加工食品を単体でテイクアウト販売する場合は、手続きが必要となるケースがあるため注意が必要です。例えば、以下のようなテイクアウトの場合はそれぞれに許可が必要になります。
・アイスクリームのテイクアウト販売をする場合は「アイスクリーム類製造業」
・スープや餃子などを冷凍販売するには「食品の冷凍または冷蔵業」
・パンやケーキを販売する場合には「菓子製造業」
・生ハムの販売なら「食肉製品製造業」
ちなみに、生ハム単体ではなく生ハムサラダとして野菜と一緒に提供すれば許可は不要です。このように、線引きが難しいケースも多いため、判断できない場合は前もって保健所に相談しておきましょう。
テイクアウトを始めるにあたりやること
テイクアウト販売は、届出さえ行えばすぐに始められるわけではなく、他にも行う準備事項がたくさんあります。ここでは、テイクアウトを始めるにあたり最低限必要とされる内容について紹介していきます。
容器の準備
テイクアウトサービスを行うには、料理を入れる容器が必須です。ただ、「食べ物が中に入ればどんなものでもよい」というわけではありません。例えば、「すぐにふたが外れてしまう」「持ち手が熱くなってしまう」といったものは避けたほうが無難です。また、「油や水分が漏れない容器」「盛り付けた際の見栄えの良さ」「移動している間に料理が崩れない」といった点にも気をつける必要があります。できれば、仕切りがついて料理が混ざらないものがベストです。具体的には、業務用の弁当箱や簡易容器などがあるので、その中から選ぶのが無難でしょう。
また、料理を詰める容器の他にもフォークやスプーンなどのカトラリーやお手拭き、それらを入れる袋なども新たに購入しなければなりません。しかし、無計画にそれらを仕入れるとコストがかさむだけでなく置き場所にも困ってしまう可能性があります。そこで、おすすめなのが、思い切って容器の種類を絞って仕入れを行う方法です。もし、容器を1種類にできれば大ロットでの購入が可能となり、その分1個あたりのコストを下げることが期待できます。また、種類が少ないとまとめやすくなり、省スペース化にもつながるでしょう。
宣伝活動
せっかくテイクアウトを始めても、誰も気付かなければ意味がありません。来店してくれる顧客に対しては、店内ポスターやPOPなどを用いてテイクアウトサービスの存在を認知してもらう必要があります。しかし、課題となるのは「来店したことのない人へどのようにしてサービスの存在を知ってもらうか」です。新規顧客の獲得ができなければ、売上を大きく伸ばすことは難しくなります。そこで、検討したいのが店外ポスターの掲示やチラシの配布などです。また、コロナウイルスの影響によって自宅でリモートワークを行っている人が増えている状況下では、ポスティングも有効な手段だといえます。
さらに、ネットの活用も忘れないようにしましょう。SNSやホームページでの告知はもちろん、Googleマイビジネスに登録してテイクアウト可能店であることが分かるようにしておくことも大切です。
メニューの見直し
テイクアウトを始める際には、メニューの見直しも重要になってきます。なぜなら、今まで店内飲食用に提供してきたメニューが必ずしもテイクアウトに向いているとは限らないからです。例えば、傷みやすい刺身やすぐに麺がのびてしまうラーメンなどはテイクアウトには不向きといえるでしょう。そのため、「テイクアウトに向かない食材や調理法のものは入っていないか」の検討が必要です。そのうえで、不向きだと思われるものがあった場合には、どのようなメニューに置き換えるのがよいかを考えていきましょう。さらに、容器に盛り付けた際の見た目を考慮して、ソースの量や付け合わせの見直しを行うことも大切です。
3.テイクアウトを助けてくれるサービス
テイクアウトを始めると、手間が増えて人手が足りなくなってしまいがちです。しかし、ネット上にはテイクアウトビジネスをアシストしてくれるさまざまなサービスがあります。それらをうまく活用することで、問題の多くは解消できるはずです。ここでは、テイクアウトを導入する際の手助けとなる、おすすめのwebサービスを紹介していきます。
menu
menuは、テイクアウト及びデリバリー用のアプリです。ネット上でアプリをダウンロードすれば誰でも手軽にサービスを利用できます。また、menuを利用すれば顧客からの予約注文を事前で行うことができ、支払いも事前決済が可能です。そのため、店が混雑している際、電話によるテイクアウトの予約注文やレジでの精算業務などに人手を取られなくてすみます。しかも、カード手数料が無料なため、低コストで始められることも魅力的です。
eEAT
eEATは、飲食店のためのオンラインショップ制作アプリです。デザイン性の高いサイトを手軽に制作でき、そのサイトを通してweb注文や事前決裁を行うことができます。店側は、注文状況を確認して指定の時間に訪れた顧客に料理を渡すだけです。そのため、手間が大幅に省くことが期待できるでしょう。また、個別の商品に対してではなく利用期間に対して決済を行うサブスクリプションサービスの実現も可能です。例えば、毎週決まった日時に料理を提供するなどの新しいサービスを導入し、売上アップを狙うこともできます。
mikke(近日リリース)
mikkeは、2020年9月リリース予定のグルメサイトです。従来のグルメサイトでは、検索しても店舗情報が出てくるだけでしたが、mikkeの場合はメニューが一覧表示されます。そのため、店の小規模でメニューの数が少なくても、料理に自信があれば効果的なプロモーションが行える点が魅力です。また、集客効果を図るための目玉料理を開発したうえで、mikkeを利用する方法もあります。ちなみに、使い方は簡単でお店と宣伝したいメニューの写真や情報などをそれぞれ登録するだけです。
自前の店舗アプリでテイクアウト運用も!
さまざまなアプリやwebサイトといったプラットフォームを活用すれば、手軽に利用できるだけでなく一定の効果も期待できるでしょう。しかし、より多くの固定客を獲得しようと考えている場合は、自前でオリジナルのアプリを持つことがおすすめです。ここでは、オリジナル店舗アプリのメリットや、便利な店舗アプリ作成サービスについて紹介していきます。
店舗アプリのメリット
店舗アプリとは、飲食店などが効果的に集客を行うために自前で制作するスマートフォンアプリのことを指します。マクドナルドやスターバックスなどは、よくスマートフォンアプリを使って店舗の情報やクーポンの配信などを行っていますが、あれが店舗アプリです。店舗アプリを活用すれば、店舗・商品・お得情報などを深く知ってもらうことができ、ファンを育成して固定客をつかみやすくなるでしょう。ただ、専用アプリというと開発や運用が大変で中小規模の店舗にはハードルが高すぎると思われがちです。しかし、決してそんなことはありません。店舗アプリ作成サービスを利用することで、簡単に導入や運用ができるのです。
店舗アプリ作成サービス「UPLINK」
店舗アプリ作成サービスには、さまざまな種類がありますが、その中でも特におすすめしたいのが「UPLINK」です。UPLINKには、「プッシュ通知」「スタンプカード」「ポイントカード」といった基本機能を始めとして、「事前決済」「チケット発行」「テイクアウト」「顧客分析」などといった具合に、実に豊富な機能が搭載されています。これらの機能を駆使することで、顧客に「便利で利用しやすいお店」というイメージを持ってもらいやすくなることが期待できるでしょう。
しかも、その他にテイクアウトに特化した「UPLINK Mini app for Take out」やオンライン決済に特化した「UPLINK Mini app for Pay」も用意されています。このように、「UPLINK」シリーズは3種類あるため、検討のうえで自店舗に合ったものを選べることも魅力の一つです。
テイクアウト開始は販路を拡大するチャンス
テイクアウトのサービスは、コロナによる売上の落ち込みを補う手段として有効ですが、できれば自粛期間が終わった後も継続していきたいものです。テイクアウトを効率よく提供することで、「忙しくて外食ができない」「一人で外食はしづらい」といった層も取り込むことが期待できます。既存客以外の獲得も広がり、大きく売上を伸ばすチャンスとなるはずです。まずは、テイクアウトを盤石にするための基盤を築いていきましょう。