飲食店のサブスク導入事例!導入のメリット・デメリットと導入方法も紹介

コラム

「サブスク」として流行語にもなったサブスクリプションは、今ではさまざまな業界が取り入れている定額制サービスのことです。従来のサブスクでは、動画配信サービスといったオンラインでの活用が一般的でしたが、飲食店などの実店舗でもサブスクを導入するケースがどんどん増えています。そこで今回は、飲食店でサブスクを導入するメリットやデメリット、導入の際の注意点などについて詳しく解説します。

オンラインだけじゃない!実店舗でも進むサブスク導入

そもそもサブスクとは「サブスクリプション」の略語で、「定期購読」という意味を持つ英語の「subscription」が語源となっている言葉です。インターネットの普及によってオンライン上のサービスが充実してきていますが、それに伴って、年次や月次で一定の金額を支払うことで動画の視聴ができたり、音楽の配信を聴くことができたりする定額制サービスも拡充されていきました。そうした定額制サービスが一般にサブスクと呼ばれるようになり、今ではオンライン上のみならず、さまざまな業界でサブスクの導入が進められています。

例えば、定額料金を払うことで期間中に好きなファッションアイテムを交換できるサービスや乗りたい車種を変更できる車の定額サービスを行うサブスクも登場しています。このように、オンライン上ではない実店舗でも、続々とサブスクの導入を進める業界が増えてきているのです。もちろん、ファッションや車だけではなく、飲食の世界でもサブスクの導入は珍しくなくなってきています。例えば、月額料金を支払うことで、決められた範囲内でのメニューが食べ放題・飲み放題になるといったサービスです。

飲食店がサブスクを導入することは、単なる流行の後追いではなく、明確なメリットがあるひとつの事業です。もし、導入を検討しているなら、どのようなメリットがあるのか確認し、その注意点やデメリットもしっかり検討しながら準備を進める必要があります。

飲食店がサブスクを導入するメリット

飲食店がサブスクを導入すると、どのようなメリットを得ることができるでしょうか。ここでは、飲食店によるサブスク導入の主なメリットについて解説します。

収益が安定化する

飲食店の売り上げは、繁忙期と閑散期で安定しにくいという側面があります。忘年会や新年会が増える年末年始などの時期は安定した収益を確保できても、梅雨の時期などのイベントのない期間はなかなか売り上げが伸びず、収益の安定化に苦労しているという人も多いでしょう。そのような中、定額制サービスであるサブスクは、繁忙期・閑散期に関わらず毎月一定の売り上げを確保できるビジネス手法です。そのため、時期によって集客に変動が起きやすい飲食店でも、サブスクを導入すれば収益が安定化するというメリットを得られます。

また、サブスクでは翌月分の売り上げを前払いで支払ってもらうのが一般的です。その分、翌月分の売り上げを早めに確保でき、万が一の出費にも対応しやすいという点もサブスクのメリットです。加えて、サブスクは一度顧客に加入してもらえば、顧客側が退会などのアクションを起こさない限り、契約が自動更新されるというシステムになっています。顧客をしっかり確保できれば、継続的かつ安定した収益が見込めるため、将来の見通しを立てやすいという点もサブスクの見逃せないメリットといえます。

新規集客力もアップする

サブスクは新しいサービスであるため、始めるだけでも大きな話題を作ることになります。そうした話題性によってお店の売りをさまざまな人にアピールでき、試しに来店してみようという新規の顧客を獲得しやすいという側面があるのです。また、既にサブスクを利用しているリピーターが、新しい顧客を連れてきてくれるという相乗効果も期待できます。特にサブスクでは、その顧客の利用状況に関わらず、毎月一定の金額を支払ってもらうことになります。その分、サブスクを利用している顧客は、なるべく損をしないようにリピーターになりやすい傾向があるのです。このように、既定の顧客を確保しつつ、新規顧客を開拓できる点もサブスクの大きなメリットです。

また、サブスクによってよりお得感の強いサービスを提供できれば、周辺の競合店との差別化もより明確になります。消費者はやはりよりお得なもの、より安いものを求める傾向がありますから、サブスクというお得なサービスを用意している店舗は、そうでない店舗より高い集客力を期待することができるのです。

顧客情報を得やすいためマーケティングしやすくなる

自動課金システムであるサブスクは、加入の際に顧客の名前や年齢といったさまざまな情報を入手することになります。そうした顧客の情報はマーケティングにも活かすことができ、例えば顧客の年齢や購入履歴から最適なサービスを提供するなど、サービスの向上に活用することが可能です。加えて、住所や連絡先といった情報も登録の際に入手できるので、郵便物やメールによるコンテンツ配信やアンケートの協力などにも参加してもらえます。

従来の飲食店では、どれほどの常連でも名前や連絡先を知らないということも珍しくありません。一方、サブスクを活用すれば、顧客とのコミュニケーションがより活発となり、その中で顧客のニーズを探るということも可能となります。そうすることで、より顧客に合ったサービスの提供がしやすくなるとともに、顧客満足度の向上などにも役立てることができるのです。

飲食店がサブスクを導入するデメリット・注意点

飲食店では、現金での支払いしかできないお店も少なくありません。しかし、サブスクを導入するとなれば、クレジットカードやスマホ決済などの自動課金システムが必須となります。そのため、まだそうした自動課金システムを取り入れていない場合は、サブスク導入の際にどうしても初期コストがかかってしまいがちです。もちろん、導入した後もランニングコストが発生するため、しっかりした準備とプランニングがサブスク導入の鍵となります。

また、サブスクによって提供するサービスの質に関しても注意が必要です。利益を出しつつ、顧客がお得と感じるようなサービスを提供できなければ、いくらサブスク自体の話題性が高くても安定した収益は見込めません。利益とお得感の両方をバランスよく加味したサービス設計が何より肝心となります。「ただ食べ放題にすれば良い」など、安易に始めてしまうとかえって赤字ばかりが増えてしまうこともあるので、計画的にスタートすることが重要です。

飲食店でのサブスク導入事例

既に飲食業界でもサブスクの導入に成功しているお店はたくさんあります。これからサブスクを成功させるためには、そうした成功事例を参考にすることも大切です。以下、飲食店でのサブスク導入事例を紹介するので、ぜひ参考にしてみましょう。

『ばんからラーメン』(東京)

東京の池袋と秋葉原に店舗を構える「ばんからラーメン」では、月額6800円でラーメンが毎日無料というサブスクサービスを実施しています。定額料金で食べ放題というのは飲食店のサブスクで一般的なサービスではありますが、ばんからラーメンのサブスクはそれだけではありません。月額300円でトッピングが毎日無料になる「トッピングパスポート」という少額のサブスクサービスも提供している点に注目です。このように、単に食べ放題のサブスクサービスを提供するだけではなく、価格が低いコースも同時に用意しておくと顧客によりサービスを試してもらいやすくなります。価格を何段階かに分けて用意するのもサブスクの賢い活用法です。

『沖縄いちゃりば酒場 あかゆら』(東京)

沖縄料理店の「沖縄いちゃりば酒場 あかゆら」では、月額980円で沖縄定番のおつまみを1日1品無料で提供するサブスクサービスを展開しています。このサブスクサービスでは、メニューの中の一品のみをピックアップして定額にしています。こうすることで、サブスクの定額料金を抑えつつ、お店自慢の一品を的確にPRしながら顧客に楽しんでもらえるのです。このように、メニューの一部をサブスク化するという方法もあります。

『always LUNCH』(東京・大阪・京都・福岡)

「always LUNCH」では、加盟店を複数募ってサブスク展開するという方法でサービスを導入しています。このお店では、月額5980円(税別)で対象店舗のランチが1日1回無料で食べられます。2020年10月現在はコロナウイルス感染拡大によって休止中ですが、このサービスのように複数の加盟店舗で協力してサブスクサービスを提供するという方法も一般的です。こうした複数店舗が展開するサブスクに加盟することで、自店舗の広告効果も見込めるため、単なるサブスク以上の収益が見込める手法となります。

『ALL DAY COFFEE』(大阪)

飲み放題や食べ放題のサブスクがある一方、「ALL DAY COFFEE」のように制限を設けてサブスク展開しているお店も少なくありません。ALL DAY COFFEEでは、「募集人数20人・月額3500円でコーヒー25杯まで飲み放題」など、限られた人数に対して月額料金でのコーヒー限定無料サービスを展開しています。このように制限を設けることで、限定イベントとしてサービスをPRできるようになります。加えて、お得感もうまく演出できる考えられたサブスクだといえるでしょう。

サブスク導入なら顧客との絆を深める「店舗アプリ」

実店舗でのサブスク導入を検討する場合、何より継続課金の仕組みをどうするかが課題になりがちです。サブスクのシステムに関してはさまざまなサービスがありますが、ここでは「店舗アプリ」の活用をおすすめします。

店舗アプリとは

店舗アプリとは、その店舗自身が提供する独自のアプリのことです。アプリを通じて顧客とつながることができ、クーポンの発行や決済システムなどともリンクして利用することができます。例えば、店舗アプリ作成サービスのUPLINKの場合、ポイントカード機能やスタンプカード機能、そしてサブスクに使える定期券機能などがあります。もちろん、店舗アプリはその店舗独自のアプリとなるため、自店舗で独自開発する必要がありますが、UPLINKなどの店舗アプリ作成サービスを活用すれば手軽にクオリティの高いアプリを作成することも可能です。

店舗アプリでサブスクを展開するメリット

サブスクに店舗アプリを活用すれば、まずオンライン決済などの課金システムを導入することができます。加えて、プッシュ通知やテイクアウト、予約機能などといったさまざまな機能を使えるようになる点もメリットです。店舗アプリは顧客にアプリをダウンロードしてもらい、個人情報や口座情報などの必要事項を入力してもらうことで利用が可能になるサービスです。

その分、顧客に関する有益な情報を入手しやすく、しかも顧客分析機能が充実しているため、マーケティングにも利用しやすくなっています。もちろん、クレジットカード情報などの機密性の高い顧客データの管理も徹底されているため、サブスクによる情報漏洩が心配という場合でも安心して導入することができます。そうしたセキュリティの高さも店舗アプリの魅力です。

サブスクを開始して飲食店経営の安定化を

飲食店の経営にとって、収益の安定化は大きな課題といえます。毎月一定の金額が支払われるサブスクを導入すれば、オフシーズンでも安定した収益が得られるなど店舗経営にとって大きなメリットがあります。サブスクの導入手段はさまざまありますが、中でも店舗アプリはサブスクのみならずさまざまな機能が利用できる方法です。顧客の囲い込みにも役立つので、サブスク導入の際はぜひ店舗アプリを検討してみましょう。

タイトルとURLをコピーしました