新型コロナウイルスの流行以来、感染拡大防止のための外出自粛が続いています。その影響により、集客に悩んでいる飲食店は少なくありません。そこで、そうした苦境を乗り越えるヒントとなるように、「新規顧客の集客手段」「企業・団体による飲食店支援」「Go Toイートキャンペーン」などの詳細を紹介していきます。同時に、売上の安定化に不可欠なリピーター獲得の方法についても解説します。
新規顧客集客に効果的な手段
コロナ禍の影響が長期化しているなかで、飲食業界は深刻な状況に陥っています。これを乗り切るには今まで通りのやり方だけでは十分ではありません。新しい試みを実行に移し、新規顧客の獲得に取り組むことが重要です。そこで、この段落では新規顧客の集客に効果的な手段を紹介していきます。
看板・ウェルカムボードの設置
店を構えていてもそれに気付いてもらえなければお客は集まりません。特に、高層階にある店舗の場合はその傾向が顕著です。そこで、通りがかった人がすぐに気が付くように看板を設置する必要があります。ただ、看板と一言でいっても、突き出し看板や店舗入り口上部に設置する横長型のファサード看板といった具合に、種類はさまざまです。どれを選ぶかは立地条件などによっても変わってきますが、歩行の邪魔にならず、それでいながら通行人の目線に合わせて進行方向から自然と視界に入ってくるように設置するのがコツです。
一方、店の存在を知ってもらうだけでなく、より興味を持ってもらうためにはウェルカムボードも必要になってきます。ウェルカムボードとは店頭に設置している小型の看板やサインボードを指す言葉ですが、メインの看板とは異なり、「本日の一押しメニュー」「本日の予約状況」「来店を歓迎する言葉」などといった、より具体的な情報を伝えることができます。これによって、入店しようか迷っている人に対する後押しとなるわけです。ちなみに、ウェルカムボードを設置する場合はメニューの価格帯が一目で分かるようにしておくことをおすすめします。なぜなら、値段がわからないと多くの人は入店を躊躇ってしまうからです。
チラシの配布・ポスティング
ネットが広く普及した現代においてもチラシは一定の集客効果が見込めます。特に、ネットを使えない世代や地域の人々に対するアピールには最適です。具体的な宣伝方法としては、「自作のチラシを駅前や店先などで手配り」「近隣地域でポスティング」「新聞の折り込みチラシ」などが挙げられます。その際、「〇円引き」「ドリンク無料」などといったクーポンを付けるとさらに効果的です。お得だと感じれば来店したくなるものですし、期間限定にすれば即効性のある集客が期待できます。また、それなりのコストはかかるものの、継続的に行うことで店の認知度を高められるというメリットもあります。
地域情報誌への掲載
地域のフリーマガジンを利用するのも集客を図る有力な手段だといえます。なぜなら、こういった地域情報誌は地方によっては新聞以上に目にしてもらえる可能性が高いうえに、幅広い年代にアプローチができるというメリットがあるからです。また、お店のこだわりやおすすめメニュー、価格帯、雰囲気などといったものを潜在的な顧客に対して効率的に伝えられるという点も見逃せません。ただ、広告スペースが4分の1ページ程度だと、他の広告や記事にまぎれて見過ごされてしまうおそれがあります。したがって、出稿するなら多少費用はかかるものの、より注目されやすい折り込み広告もおすすめです。
イベント実施
期間限定のイベントを実施し、見込み客の関心を引くのも一つの手です。特に、「お得」「面白そう」と思わせるようなイベントを行うことができれば高い集客効果が期待できます。代表的なものとしては、「ドリンク1杯無料」や「看板メニュー無料サービス」などが挙げられます。それも、「平日限定」や「2月限定」などといった具合に、閑散期や平日などの客入りが悪い期間に絞って実施するのがおすすめです。そうすれば、時期による極端な売上の落ち込みを抑えることができ、業績の安定化にもつながります。
また、地元のアーティストを招いたり、他店とのコラボイベントを行ったりするのも、新規顧客の呼び込みには効果的です。ただ、個人飲食店のように規模の小さなお店の場合はそうした大規模なイベントを行うのは難しいかもしれません。そこでおすすめなのがSNSを利用したイベントです。「SNSをフォローした人限定でドリンク1杯サービス」のようなイベントであれば手間をかけずに行うことが出来ます。同様に、「誕生月の方限定サービス」なども気軽に行えるイベントの一つです。
グルメポータルサイトへの登録
自分のニーズに合った飲食店を探したい場合、多くの人はグルメポータルサイト、あるいはグルメ情報サイトと呼ばれるものを利用します。これは全国にある飲食店の情報をまとめたサイトで、食べログやぐるなびなどが有名です。一方、店舗側がこうしたサイトに登録すれば、たとえお店の公式サイトがなくても営業情報やメニューなどを公開することができます。そのうえ、クーポン券発行・予約・口コミレビュー・外国語対応などといった機能まで備わっているのです。したがって、グルメポータルサイトに登録し、顧客にお店を見つけてもらうというのはかなり有力な集客方法だといえます。一部有料になるものの、検索が上位に表示され、顧客の目に付きやすいというメリットは見逃せません。
公式サイト・ブログの運営
ネットが普及した現代において、公式サイトからの情報発信は極めて重要です。グルメポータルサイトでも独自に店舗ページを作成して情報を発信することは可能ですが、公式サイトやブログを運営すれば店舗のブランディング作りの一助となり、対外的な信頼感も生まれてきます。また、ブログを更新しつづけることによって検索エンジンで上位に表示されると、アクセス数の増加にもつながります。根気は要するものの、アクセスを集められるようになれば検索エンジンを通じて新規顧客が24時間流入し続けるため、大きな集客効果を得られるようになるのです。
それに、グルメポータルサイトの店舗ページなどとは異なり、自由にコンテンツを作成できるというのも大きなメリットです。宣伝効果を高めるために独自の工夫を凝らすこともできますし、顧客との積極的なコミュニケーションも可能になります。しかも、後述するSNSやリスティング広告などと連携させれば、さらに大きな効果が期待できます。
Google マイビジネスへの登録
Googleにはさまざまなサービスがありますが、そのなかでも特に集客の助けとなるのがGoogle マイビジネスです。このサービスに登録すると、Google検索やGoogleマップに店舗情報が出てくるようになります。たとえば、Google検索で「地名+メニュー名」などで検索した場合、検索結果画面の上位に店舗の位置を記した地図や店舗情報をまとめたパネルなどが表示されるといった具合です。しかも、レビューや口コミ機能があるうえに、写真や動画を掲載することもできます。また、ホームページとの連動やイベントの情報の投稿も可能です。
なにより、無料で利用できるのがうれしいところです。ただ、登録しただけでは必ずしも上位に表示されるとは限らないので正確な店舗情報を記載し、おすすめ情報などを頻繁に更新する必要があります。そうした努力を続けることで店舗情報が上位に表示されるようになり、大きな集客効果へとつながっていくわけです。
リスティング広告への出稿
ネットを利用した集客方法としてはリスティング広告も有力な選択肢の一つです。リスティング広告とは、ユーザーが検索エンジンを用いて検索した際に、キーワードと連動して検索画面の上部や下部に表示される広告のことを指します。たとえば、「地域名+業種名」「地域名+料理」「地域名+用途(宴会・忘年会など)」といったキーワードの組み合わせをあらかじめ設定しておき、実際にその組み合わせで検索が行われれば広告が表示されるといった具合です。
ちなみに、このサービスは有料で、広告がクリックされた数に応じて広告料を払う仕組みになっています。費用対効果は高いといわれているものの、運用するにはそれなりの知識が必要です。ある程度の勉強は必須となるので、その点を踏まえて利用するかどうかを決めていきましょう。
SNS運用
現代における集客対策として欠かせないのがSNSです。FacebookやTwitter、Instagramなどで店舗アカウントを作成し、フォロワーを増やしていけば情報発信力が高くなり、集客につなげることができます。ただ、フォロワーが少ないうちはなかなか見てもらえませんし、こまめに更新しなければフォロワー自体が増えていかないという大変さはあります。その代わり、努力さえ惜しまなければ、ほとんどコストをかけずにファンを育成することができるのです。
また、より効果を高めるにはSNSの特徴やユーザーの属性を踏まえたうえで、ターゲット層が多く利用しているものを選択することが大切になってきます。たとえば、20~30代の若い女性が中心のお店の場合はInstagram、比較的年齢層の高いお店の場合はFacebook、さらに、なるべく幅広い層をカバーしたいのならtwitterといった具合です。
見逃さないで!企業・団体の飲食店支援
新型コロナウイルスの拡大に伴って飲食業界は大変な苦境に立たされています。そのような現状のなか、日本の外食文化の火を消さないようにと、支援を始めている企業や団体が数多く存在します。したがって、コロナの影響による業績悪化などに悩んでいる人は、実際にどのような支援が受けられるのかを確認しておくことが大切です。たとえば、グルメサイト「Retty」ではテイクアウト・デリバリー導入店舗の情報を掲載して集客を助けるサービスを始めていますし、株式会社wonderXでは集客に困っている飲食店に対してパワーインフルエンサーによるPRサービスを無償で行っているといった具合です。その他にも、一般企業による運営支援や集客支援が豊富に展開されています。
また、地方自治体でも店舗情報を掲載したり、補助金制度を導入したりして、飲食業界の支援を行っています。地域観光ブログでテイクアウト情報を共有したり、公共施設でクーポン券の配布を行ったりというのがその一例です。
デリバリーやテイクアウトのスタートも要検討!
外出自粛の影響によって外食が控えられている一方で、デリバリーやテイクアウトの人気は高まっています。そのため、そういったサービスを新たに始めることで活路を開こうとしている業者も少なくありません。ただ、デリバリーに関しては、最初に配達員やバイクあるいは配送車などを用意する必要があります。売上が落ち込んでいる最中に少なくないコストをかけるのはリスクです。そこで、おすすめなのがデリバリー代行業者の利用です。たとえば、「Uber Eats」や「デリバリー/テイクアウト注文アプリ」などはサービスも充実してきているので、一度導入を検討してみてはいかがでしょうか。登録さえすればすぐにデリバリーが始められるので非常に手軽です。
一方、テイクアウトに関してはサービスを開始する際に大きなコストはかかりませんし、店内で通常提供している料理を販売するだけなら基本的に特別な許可も必要ありません。飲食物を入れる容器さえあればすぐに始められます。とはいえ、「料理の調理場所と販売場所が異なる場合は別途許可が必要」「スイーツのテイクアウト販売は菓子製造業許可やアイスクリーム類製造業許可が必要」などといった例外が存在します。導入後に指摘されることがないよう、あらかじめ確認をしておきましょう。
波に乗りたい!「Go Toイートキャンペーン」の詳細は?
政府は苦境に立たされている飲食店を支援するため、「Go Toイートキャンペーン」を推進しています。実施内容としては、購入額の25%分を上乗せして使えるプレミアム付き食事券や予約サイト経由の消費者にポイントを付与するサービスなどがあります。より具体的にいうと、前者は額面6250円の食事券なら5000円で購入でき、後者は昼食時間帯に飲食店に予約や来店をすると500ポイントが、夕食時間帯なら1000ポイントがそれぞれ付与されるというものです。いずれも、消費者の来店意欲を向上させるものとして期待されています。
ただ、飲食店側がそのキャンペーンにエントリーするには、業界ガイドラインに基づいて感染予防を実施していることが求められるので注意が必要です。一例としては、「店舗入口や手洗い場に手指消毒用の消毒液を常備しておく」「飛沫感染予防のために席と席の間はパーティションで区切るか十分なスペースを確保する」などといった条件が挙げられます。そして、それらの条件を満たしたのちに、オンライン飲食予約サイトなどの事業者に登録すればその時点からキャンペーンに参加できるというわけです。
※オンラインサイトを通じての予約によるポイント付与は終了しております。
売上の安定化のために!リピーターを増やそう
ここまではいかにして新規の顧客を集客していくかについて語ってきましたが、それだけでは一時的な効果に終わってしまいがちです。伸ばした売上を長期的に安定させようと思えば、リピーターの獲得が不可欠です。そこで、この段落ではリピーターを増やす方法について説明していきます。
リピーター獲得に力を入れる重要性
売上を高いレベルで維持するには単に顧客の数を増やすだけでは十分ではありません。なぜなら、売上の8割は全顧客の上位2割によってもたらされるという「パレートの法則」が存在するからです。この上位2割にあたるのが常連客です。また、新規顧客を獲得するには、リピーターを集める5倍のコストがかかるといわれており、これを「1:5の法則」といいます。さらに、何度も来店するリピーターであれば新規顧客を連れてきてくれる可能性があるなど、良い口コミ効果が期待できます。したがって、コストを抑えながら売上を伸ばしていこうと思えば、リピーターの獲得が極めて重要になってくるわけです。
リピーター獲得のために何をすべきか
初めて訪れた飲食店に同じ客が再度来店する確率は高くても40%程度だといわれています。それに対して2度来店した顧客が3度目も訪れる確率は推定で約80%です。要するに、集客において最も難しいのは初回客にいかにして2度目の来店をしてもらうかであり、リピーターを獲得するためにはこの課題をクリアする必要があります。ただ、そのためには料理やサービスの向上だけでは不足です。なぜなら、お客にとって料理やサービスの質が高いのは大前提であり、それだけでは「もう一度来てみたい」とまではなかなか思ってくれないからです。
そこで、再来店のきっかけをどのようにして設けるかが重要になってきます。たとえば、初回客に「次回使えるクーポン」を用意するなどです。また、ポイントカードなどで来店すれば得をするという仕組みを作れば、3回目以降の来店にもつながっていきます。それから、メンバーズカードなどで常連客を特別扱いするといった手法も有効です。さらに、紹介制度も用意すると新規顧客を連れてきてくれる可能性も高くなります。
リピーター獲得に有効なのが「店舗アプリ」
リピーター獲得の手段として特に有効性が高いのが店舗アプリです。ただ、それがどういったものかをよく知らないという人も多いのではないでしょうか。そこで、そもそも店舗アプリはどのようなもので、どういったメリットがあるのかについて紹介していきます。
店舗アプリとは?何ができるの?
今やスマートフォンアプリは大多数の人にとって生活の一部になっています。店舗アプリとはスマートフォンアプリを活用した店舗独自の集客ツールです。店舗アプリ作成サービスを利用すればアプリ開発や運用の知識がなくてもアプリを持てるため、大手チェーン以外でも配信している店舗は少なくありません。具体的に何ができるかというと、たとえば4000店舗以上の導入実績を誇る「UPLINK」の場合はスタンプカードやポイントカード、お知らせ配信やプッシュ通知、事前注文・決済機能、回数券機能などです。しかも、これはほんの一例であり、他にも多くの機能が備わっています。
店舗アプリのメリットとデメリット
店舗アプリを用いれば、「回数券機能を利用したサブスクサービス」や「事前注文・決済機能を利用したテイクアウト」といった集客に結び付く新サービスの導入が可能になります。また、分析機能による適切な顧客分析は新たな集客対策のヒントをもたらしてくれます。さらには、キャッシュレスや紙のカードの廃止によるペーパーレスの実現につながる点も見逃せません。ただ、導入及び運用にはそれなりのコストがかかるため、費用対効果が適切かをよく確認する必要があります。
さまざまな広告手段やサービスを駆使して集客課題を解決しよう
飲食店にとってコロナウイルスの流行は大きな問題であり、実際に客足が遠のいた店も少なくありません。しかし、昔と違って現在は飲食店の集客課題を解決できるさまざまな広告手法やサービスがあるので、うまく活用していくことをおすすめします。たとえば、店舗アプリ作成サービスの「UPLINK」なら、4種類のプランから課題やニーズに合わせて選択することが可能です。興味があれば一度詳細を確認してみてはいかがでしょうか。